住之江水面を知り尽くす地元・岡村仁選手に、出力低減モーターの特徴や実際に住之江で走った感想などを伺いました。
※岡村選手は今節のレースには出場しません。
選手から見た出力低減モーターの特徴は?
まず、スタートが届かないですね。ダッシュのカドからスタートする場面でも、今までは伸びて内へ絞れてたけど、今は厳しいので外からの勝負が難しくなりました。逆にインの時はフライングかな?と思っても、意外と大丈夫だったりします。あと、ターン後の足が弱くて、全速ツケマイが決まりにくくなりました。旋回後に伸びないので、差したはずが差さってなくて、まくり差しでなんとか届いてる感じ。逆にインのときは、差されたかなという角度でも先に回ってしまえば安心感があります。
レース展開の変化は?
馬力がない分、追い上げしにくいので1周1マークの展開がすごく重要になってきています。前は穴展開になっても、人気の選手が2、3着まで追い上げることもあったけど、今はそれが難しいので、穴決着が増えるんじゃないかな。
周りの選手の反応は?
僕も含め、対応に苦戦している人が圧倒的に多いですね。
調整面での変化は?
素性がいいモーターはペラ調整でパワーの上積みができますが、ダメなモーターは何をしても立て直せないですね。以前は調整次第でポンとよくなったりしましたが…。上積みできている人はそのまま下がることはないです。着順成績に正直に表れるので、節の終盤になるにつれて調子がわかりやすいですよ。
住之江と他場の差は?
常滑を走った時は、各モーターの機力差がすごく大きかったです。海水のレース場は機力差が大きくて、ダメなモーターは何をしても上向かず、どんどんダメになっていく。でも住之江は機力差が少なくて、いいモーターはあっても、悪すぎるものはないです。さらに、その中でも一節に5機程度はズバ抜けて足色がいいモーターがありますね。
足色はどこで見分ければいい?
2連率などの数字で判断するより、本場に来て実際に展示航走を見ると一番わかりやすいと思います。パワーが足りていないと展示でもバタつきます。水を掴んで安定して回っている場合はパワーがある証拠です。前はある程度モーター自体にパワーがあったので、旋回を少々外しても回れてたけど、今は外すと本当に安定しないので、良し悪しがより顕著です。
一般戦とグレードレースでレース展開に差はある?
一般戦は選手ごとの調整力やスタート力に差があるので、合わせきれてない人が2、3コースにいると展開がバラついて穴が多く出そうです。逆にグレードレースになると、選手の技量がある程度そろうので変化は少ないかも。
調整面で気にしていることは?
ペラ調整に費やす時間が増えました。前まではバーッと叩いただけでも、広い範囲で正解が出やすかったけど、今はパワーがない分ピタッとハマる範囲がすごく狭いんです。さらに前は少々天候が変わろうが良いときは良かったけど、今は天候と気温にもかなり左右されるのでよりシビアに調整力が求められます。
出力低減モーターを使いこなすコツは?
最後の最後まで諦めず調整を続けることですね。根気がある人ほど良い結果を出すと思います。
今回のようなルールの変化に素早く対応することが人より一歩抜け出す糸口になるので、逆にチャンスと捉えて取り組んでいきたいです。